どうでもいいやってこともある 16

  • そういえば、http://d.hatena.ne.jp/fujisawamasashi/20070108#p1で次のようなことを書きました。「私は実験を通して、物性物理学という分野を研究しています。いわゆる典型科学です。でも、典型科学をやっているのだけど、帰納でも演繹でもないアブダクションという推論形式は自分たちの実際の研究の進め方と遠くないと思いました。」
  • 大学に入った後の物理って、近似計算が多くて、最初は、というか長い間馴染めなかった・・・って思い出した。
  • からしさの度合い、という概念は、普通の人が普通に使いこなしている概念でもあるけど、そういうのに意識的になったのは大学院で勉強している頃かも。
  • 物性の研究においては各種の実験手段を用いてその物質の性質を探っていきます。それは、「歪んだなガラスを覗きこむ」(http://cse.niaes.affrc.go.jp/minaka/files/DAKARA.html)という比喩がぴったりだと思います。私の場合は磁性が専門なので、実験手段としては、X線、磁化、比熱、核磁気共鳴、電子スピン共鳴、中性子散乱、μSR、メスバウアー分光など(他にもいろいろあるけど略)が関係します。一つの実験だけだと、モデル化の際にいくつかの可能性が生じます。それは複数の測定手段を通じて、少しずつ明らかになってきます。
  • 実験によって得られる情報は限界があります。いくつものモデルがある中で、最も尤もらしいことを選びます。
  • そういうと、やればできる、って印象を受けやすいかもしれません。でも、「あたりまえのこと」か「まったくわけがわからん」ということが多いです。しかし、一見「あたりまえ」であることが、実は当たり前ではないってこともあるし、「まったくわけがわからん」が別の視点からみると理解の手がかりを得ることができることもあります。

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  • 自分の能力に見合ったそこそこの難易度の研究課題を見出すことは、研究者にとって必要な能力だと思います。職業研究者として必要な能力と言うべきかな。
  • 普段褒めることが少ない上司が褒めることがあれば、部下は嬉しいのだろうな、って思うことがある。飴鞭と言ってしまうとそれまでなのだが。
  • 相手の能力を測って発言するというのは大変なことなのだと思うことが多い。
  • 大学院生と一緒に作業することが多い。「どういう目的で進学したのか」を知っていたほうがよいかな?って思うようになった。
  • 目的を失った人に対して、私がわざわざ理由を見つけてやんなきゃいけないのも変な話だ。というか、結局理由を押し付けてしまうことになるのだろうか。価値の相克・・・とかわざわざ言うのも変な話だけど。