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彼女はごろんとベッドに仰向けに寝そべった。
黒い天井をじっと見ている。
そして目を閉じた。

動きは先ほどからゆっくり。
一つ一つの動作がとても丁寧な印象を受ける。
残りの時間が僅かなことを意識しているのかも。
大事に大事に、噛み締めるように。
些細な行動もいつもより意識的に。
それは・・・、
名残惜しいから?
ひとつひとつが最後の体験。
でも、実際は、死ぬ前じゃなくても、ひとつひとつは最後の体験なんだ。
最後であることを認識していないだけ。
それを、何度も欲しいと思うかもしれないけど、
それは叶わない望みなのだと思う。