『残酷な神が支配する』(萩尾望都)
全17巻中、16巻まで読んだ。17巻は手元にないので、そのうち買う予定。
しかし、なんというマンガだ。読んでいて、なんか鬱々としてきてしまった。暗いマンガだ。現時点で、あんまり他人に薦める気になれない。妹は面白いって言っていた気もするのだけど。
うーん、表現法は面白いところだらけなのだが。絵は私の好みではないけど。
少女漫画で、「ゲイのカップルができてたら片方は女だと思え」の法則があるが(嘘)、そういう解釈ではよくわからないのかも。
これは、一般論だけど、時代が進むにつれて、物語は多層的(多重的)になるものだと思う。昔の物語より、今の物語の方がより複雑だ。それは、現代の人は、昔の人より、より複雑なものを好むようになってきたからだと思う。長い物語は、多重入れ子構造をすることが多い。私は、伏線の絡み合いや、多重入れ子構造が好きだ。
で、そういう入れ子構造を読み取ろうと思うのだけど、この作品はどうも読み取りづらい。わけがわからない。
不完全な二人が、悩み迷走し、傷つけ、癒しあいながら、なんとか生きていく物語か?
脇役はいい感じです。
お面が怖いです。怖いよー。
まぁ、感想は最終巻を読んでから改めて。
同作者の『メッシュ』を読んだときにも、スタイリッシュというかオシャレな作品ではあるけど、「えぇー、そんな終わり方?」って思った。なんとなくこの作品も似たような匂いがする。
・・・
最後まで読んだ。
バッドエンドではない。でも、ハッピーエンドか?って言われると違う。ジェルミはずっと囚われたまま。まぁ、囚われ具合は指数関数的に減衰していくのかもしれないけど。
どのキャラにもシンパシーを感じ得ない。共感できない。みんな私とは離れすぎている。
もちろん、面白いと思われるところを拾い出すところはできる。サスペンス調な初めのころは、読んでいて気持ち悪くなるところもあったけど面白いともいえる。
http://d.hatena.ne.jp/fujisawamasashi/20070307#p2
軸とか骨格みたいな、人の精神を支えるそういうものが見えないと不安になる。
登場人物には一応の夢があったり、特技もあったりする。でも、それは軸ではない。
何を拠り所として生きているのかがわからない。
「サクリファイス(sacrifice)」としての子供という概念。親への供物・捧げもの・生贄として子供。まぁ、そういう要素もあるでしょう、ネガティブな見方ながら。私のバランス感覚としては、「それ以外の要素が・・・」って思ってしまうけど。でも、うーん。
『十二国記 風の万里 黎明の空』の感想
http://d.hatena.ne.jp/fujisawamasashi/20040703#p1
で私は、こんなことを書いた。
主人公たちの、悩み、苦しみ、喜び・・・。
そして、その奥底から感じるのは強さ。
そこがとても好き。
変化への力は内在されている。
しかしそれは悲しみや苦しさなど圧力があって初めて出てくるのかも。
『残酷な〜』を読んでいても、生きる意志を感じえなかった。「死にたい」とか「人を傷つけたくない」とか、まぁいいけどさ。生きていて苦しいばかり、って感じ?
自分の求めるものが読んだ本に書いてないからって、本に愚痴をいってもしかたがないのだけど。
まぁ、男同士のセックス描写されても、ぜんぜん面白くないというのもあるかもしれないが。というか、コミュニケーションの手法の一つというのは理解できるが、それをしてどうなるのかと。まぁ、そこには深い世界があるのかもしれないけど、あえてわかろうとも思わないな。
同性愛ネタで思い出したけど、やっぱり物語上では、異性愛だと禁忌をつけにくいから、同性愛なのかな?って気もする。焦らすことや、オアズケが恋愛漫画の基本だから。
・・・なんか今回、書いていることが特に適当ですね。もう寝ます。