『電磁気学の基礎』(太田浩一)の感想

p.viii

多くの教科書で,「電場の時間変化が磁場の源になり,磁場の時間変化が電場の源になる」という,遠隔作用論,エーテル論の亡霊が横行闊歩している.現代の量子電磁気学では電磁場の源は電荷と電流であると教えているというのに.それは古典電磁気学でも同じで,ローレンツによって確立されて1世紀以上も経つのである.このような誤解が生じないように注意して書いた.時間変動する電磁場を理解するには運動の双対性を理解することが必須である.

ふむふむ。

第1章 空の青,海の青

p.1-2

澄んだ海,晴れた空が青く,朝日や夕日が赤いのはなぜだろう.
この誰もが抱く疑問を最初に定量的に説明したのはレイリー(J. W. Strutt, Load Rayleigh, 1842-1919)で1871年の事である.青空の説明にはマクスウェルが(J. C. Maxwell, 1831-79)が決定的な役割を果たした電磁気学と物質の原子論が密接にかかわっている.

こういう歴史をきちんと私は知らないのだよね。

p.3

レイリーが生涯をかけて取り組むことになる研究の動機は,微粒子によって散乱される光が青や紫に偏っていることを発見したティンダル(J. Tyndall, 1820-93)の実験だった(1868).レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci, 1452-1519)は黒を背景すると煙が青く見えることを発見していた.タバコの紫煙も,遠山が青く霞むのも,青い目も同じ現象である.

観測した物をきちんと深く考えられるって凄いことだ。

波長の短い青い光(λ=470 nm)は,波長の長い赤い光(λ=700nm)よりも5倍の確率で散乱される.

そうなのかあ。


p.6
ローレンスは、1890年に、

空の色から空気の分子数を決める最初の研究

をしたそうです。



p.15

ファラデイは,電気の作用が電荷の間にある媒質を順々に変えていくことによって伝わっていくものと考えた。

ファラデイは近接作用論の祖という事になるのかな。



p.17

マクスウェルのどの論文を読んでも,現在マクスウェル方程式として知られる美しい4つの式を見つけることはできない.今日の形にしたのはヘヴィサイド(1885)とヘルツ(1890)である.

そうなのか。

ファラデイが考えた場の概念は電磁気学を超え,今日では物理学の基本的考え方になっている.万有引力も,一般相対論によれば重力場を介する近接作用であり,現在では遠隔作用は存在しないと考えられている.

そうなのですね。

p.18

1845年にはガウスヴェーバーに宛てた手紙で、電気的な作用が伝搬するのに有限の時間が必要であるとする考え方を表明している。

ここらへんはあんまり意識していなかったかな。・・・そんなことないか、やっぱり荷電粒子がある速度で動いている時の話が学部2年の時にでてきたよね。

第2章 電場
p.24

(電荷をqで表すのは英語の電気「量」からである).

知らなかった。


p.28

一般に,空間の各位置で定義された物理量を場と言う.場とは畑だ.(略) 麦畑を思い浮かべてみよう.風が吹くと,麦の穂はゆれ動くため,無風状態での位置からずれる.このずれを表すベクトルuは麦が生えている位置座標xによって異なり,また時間tの関数でもあるから,風になびく麦の穂の位置はu(x,t)と書ける.これが場の量である.

分かりやすい比喩。


p.44
発散が出てきます。divですね。これはきちんと言うなら、「発散密度」と言う方がいいみたいです。


p.45
ナブラ(∇)ですが、1846年にハミルトンが導入したとのことです。アッシリアの竪琴に似ているその形からナブラと名付けた・・・らしい。


p.46
δ関数が出てくる。


p.47
積分形と微分形のガウスの法則の違いを考えてみよう.

とあって,p.48にその違いが書いてあります。これがなかなか面白いです。まあ、常識なのかもしれませんが。私はこの本で初めて認識しまいした。


p.49
回転が出てくる。rotとかcurlとか。正確には回転密度と呼ぶべき、とありますね。



p.51

基本方程式∇×E=0はEが保存場であることを意味している.空間の任意の2点間で,場Eの線積分が経路によらないとき、Eを保存場と言う.

なんか懐かしい。


第3章 ポテンシャル関数
p.58

(対数を考案したのは1614年のネイピア(J. Napier, 1550-1617),でオイラー数eを底とする自然対数lnだった).

このころなんですね。


第4章 導体

p.74 鏡像法が出てくる。懐かしい。

p.78 変数分離法が出てくる。懐かしい。というか、今でも使っていたりするけど。

p.81 グリーン関数が出てくる。そうそう、グリーン関数との出会いは、電磁気学だったな。

グリーンは初等教育を2年受けただけだが,その優れた研究は家業のパン屋と風車小屋で働きながら独学で行ったものだった.

すごい。

p.85 湯川ポテンシャルが出てくる。到達距離とかの話が興味深い。こういうを私はあんまり私知らないのだな。


いつか、続く・・・かも。