『食の精神病理』(大平健) ISBN:4334032168

食物もあるけど、昔話・童話も多かった。さらさら読める本です。

  • p.45「昔話では一般に、名前で区別されていない主人公は何人いてもひとり、の原則があります」。むむむ。初めて聞いた。でも、納得。
  • p.61「〈誰かに食べさせようとしている者を狼は食ってはならない〉という規則でもあるのかもしれません。」と、こんな仮説は面白いな。赤ずきんの謎に対する解釈として良い気がした。
  • p.153「たとえば、われわれはむかしより孤独につよくなりました」。面白いかも。本当かどうかはともかく。
  • p.162で自己実現、自己表現、自己主張、自己反省などに言及。「自己」に対するなかなか面白い考察が・・・。
  • 多重人格の症例って少ないらしい。そもそも定義を私はよく知らないかも。「二つの私(本当の自分/身体の自分)」というのでいろいろ理解できるのならそれでいいかも。複雑であることが良いことではないし。そもそも「人格」ってなんだろうね。一つのコンピュータにいろいろなアプリケーションが入っていて・・・というような比喩は、まぁ止めておきましょう。
  • 拒食症過食症、その変遷。早寝早起きで治る、って言っても俄(にわ)かには信じがたい。まぁ、いくつもの症例を見てきた人が言うんだから効果はあるんだろうねぇ。

この人の本を読んでいると、人間関係って案外単純じゃないんだろうか?って思ってきます。