ゆらゆらゆら

1999/12/27<夜の海> 
月のない夜に
波音も静かな海で
水晶の船の上から
私は硝子の帽子を落とした

世界は無限に広く
存在するのは私だけ

というような錯覚が
心の中を通り過ぎる

黒い世界にあるのは
波の音と私の息遣い、心臓の鼓動
暗い世界にあるのは
硬質な水晶からの冷たさと柔らかな風が運ぶ暖かさ、潮のかおり

闇の中を
私と船とは
ゆらゆらと漂っている

比較的お気に入り。『アタゴオル玉手箱5』(ますむらひろし)の「ミイト緯度の指」の文章に影響を受けて書いたもの。

帰省中でちょうど手元に本があるのでちょっと読む。この巻に載っている「SMELL」も名作だなぁ。タバコのお話。