『イラクの中心でバカとさけぶ』著:橋田信介 ISBN:4776201321

「まえがきにかえて」の「ある「自爆者」の遺書」だけでも立ち読みでもいいから読んでみるべきかも。『王書』と『ルバイヤート』の引用部分だけでも読むべき価値はある。


イラクへの自衛隊派遣についてこんなことを言っている。

だが、どういう症状が出ようと「自業自得」だと思うこと。なぜなら、これは戦争だからだ。そして、その戦争を選択したのは小泉首相であり、その小泉氏を首相に選んだのは我々日本国民なのだから。(p.43)

自衛隊から死者がでたとしたら、それは選挙権を持つ私の責任でもあるのだと。・・・まぁ私は自民党には票を入れていないけど、そういう言い逃れはできないよね。


p.27で、

日本に帰ってきて日本人であることを強く意識すると、今度は巨額の拠出金に腹が立ってくる。日本はサダム政権にすでに7000億円の債権がある。これをチャラにしてさらに今後四年間に50億ドルだから一兆円をはるかに超えるわけですよ、それなのに、これに関する国民の反応が全然出てこない。マスコミも沈黙している。それが不思議だよね。

実際どれだけ日本は得をするのだろう。まぁ得をするのは庶民でないけど。


日本のジャーナリズムに関する批判も面白かった。人死にを極端に避けるというのがネックらしい。それがたぶん日本の現時点の限界なのかも。人命は尊重されるべきではあるけど、数百人の犠牲がさらに多くの人を"生き返らせる"機能を持つ、というのはありうる。


他にもいろいろ面白いことが載っていました。さらさら読めるし橋田さん追悼のために買って読むのも良いのでは?ちなみにこの本は妹から「読め!」って言われて読んだ。彼女は橋田さんが死ぬ前にこの本を買って読んでいたらしく、襲撃事件についてはかなりショックだったらしい。面白い人がいなくなると、それだけ世界はつまらなくなる。


こんなことも書いてあった。

しかし人類はそんなに賢くない。まだまだ強欲でバカ、カバ、オタンコナスである。アメリカの舎弟である日本はその見本であった。わが川口外務大臣は、フランスのドビルバン外相に「アメリカに協力しましょう」とわざわざ電話をしている。だが、この番犬は政治力も軍事力もないからスピッツと同じ。いかにも頼りない。高い国際通話料を払うほどの価値があるかどうか。

大量破壊兵器」という言葉の定義もあいまいであった。何人以上殺す武器が「大量破壊兵器」か。一〇〇人以上なのか、二〇〇人以上なのか、誰も定義しないから誰も知らないのだ。
常識で考えれば、最高の大量破壊兵器は核弾頭である。核弾頭を所有しているのは国連常任理事国の他にインド、パキスタンイスラエルである。もうすぐ、北朝鮮が仲間入りするだろう。いずれにせよイラクは所有していない。

政治に対する「突っ込み技能」というのは大事だと思う。ボケが来たれば道理で突っ込む!道理で突っ込まれたときにちゃんと受け答えできないやつは信頼できないやつだ*1

*1:自縄自縛!