『十二国記 風の万里 黎明の空』 (上)ISBN:4062551756 (下)ISBN:4062551780

(下記は2000/06/30頃書いた感想。)

3人の女性の主人公が出てきます。陽子(ようこ)と祥瓊(しょうけい)と鈴(すず)という名前です。最初のころは平凡だったり、嫌なやつだったりするのですけど、いろんな出来事を通してどんどん変化が起こっていくのが面白いです。

いろんな示唆的な内容を含んでいますが、面白いと思ったのは、責任についての問題です。つまり、ある立場、地位にあるものにはそれ相応の責任をもつ、というあたりまえのことをいっています。でも、この作者責任のとらせ方が過酷なんですよね。「知らなかった」という理由では責任から逃れることはできないのです。その地位にいるということが、権利を持っているということが、責任と表裏一体。

主人公たちには辛いことばかり起こるのですが(このシリーズは全部そうだけど)、最後まで読むと凄い気持ち良いのです。これが文章力なのでしょうか?

この巻はもうこのシリーズのキャラクターが脇役としてどんどん出てきます。楽俊、六太、尚隆、珠晶(しゅしょう)、などなどなど。名前だけ出てるキャラクターでもいわくある人だったりするし。

主人公たちの、悩み、苦しみ、喜び・・・。

そして、その奥底から感じるのは強さ。

そこがとても好き。

変化への力は内在されている。

しかしそれは悲しみや苦しさなど圧力があって初めて出てくるのかも。