ポスドクの立場と教育

私は教育者なんかにはなれん!

修士の学生さんたちと一緒に実験したりすることが多い。基本的にみな(私の修士のころと比べれば、というか比べる対象はそれでいいのか?)優秀で熱意もあるが、扱う物理に関しては、あまり知識がない。だからいろいろ知っていて欲しいことがある。物理学や実験手法に関して知っていて欲しいこととがある。勉強するものや実験者としての心構えを伝えたいと思うことがある。

でも、うーん、なんだかねぇ。


どこまで伝えて良いことで、どこまで伝えるべきではないのか、いつもよくわからない。
鳥の親が雛に餌をやるように。雛が口をあけてくれないと餌を雛の口に入れることはできない。


一定レベルに達しなければ修士を修了はできない・・・が全てを強制して無理やりやらせるのは教育的ではない。

ポスドクの立場としてどこまで関与するべきなのかな、って考えてしまう。

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研究テーマで「〜の概念を知っていることはとても重要だ」ってことも多い。でも、それをある程度知るのに集中して1週間くらいかかるとなるとちょっと紹介しづらい。講義、レポート作成、装置開発、データ整理で、一日の大半は終わってしまうようだ。彼らは(全員ではないが)毎日大学に12時間以上いるみたいだし、「もっとやれ〜」とは言いづらい。

「あれを知っていると、便利」「この本が丁寧で面白い」「この論文はこの分野をやるなら必須」とかいろいろ思うのだけど、勉強する時間がなさそうだしなぁ。だから、尋ねられた時に、参考資料を紹介する・・・というようなことが多い。

紹介するときは「何が分らないかを考えなさい」とか「わからないことをリストアップしなさい」とか言う。もし、彼らがあらためて聞いてきた時は、問題点をクリアにするにはどうすればいいのか?のヒントを出すようにする。答えを与えられても、それは身にならない。答えを導く過程こそが大事だと思う。

教える際にはアナロジーを使うこともある。「モデルをたくさん持っていることが重要だよ」ってよく言う。そして「適用条件をちゃんと考えようね」とも言いたいのだけど、なかなか私の理解不足のため言えない。