誓:私はまだまだ能力的にも精神的にも弱いと思う。 悟:どうかなぁ、それは相対的な見方?絶対的な見方? 疏:要するに、守りたいものを守る強さがないってこと? 誓:世の中で生きていくためには弱い、って意味のつもりだけど・・・。 悟:傍から見ていて思うけど、あなたが生きるのに苦労しているとは思えないけどね。 疏:生きていくだけなら十分な強さを持っているはず。ある価値観を守ろうとするから、弱さを感じるのだと私は思うな。 誓:「守りたい価値」かぁ。・・・私が欲を出しているってことかな。 悟:高望みするなとは言わないけど・・・。 疏:そんな弱い言い方じゃだめだ、悟。この人にはこういわないと通じない。 「あなたの能力は、あなたの価値を守るには少なすぎる」って。そしてね・・・。 誓:あぁ、もういいよ、後は言わなくても。こう言いたいんでしょ。 「能力がないなら、せめて努力するべきなのに、ほんの些細な努力さえ厭う」、でしょ? 悟:私は努力というのは、「人はどんなことに駆動されるか」と関連があるから興味かあるな。 疏:自分の力の見極めができず、あきらめるばかり。見極めができない理由はわかっているかな? 誓:「全力をかけて戦っていないから」でしょ? 疏:私はそうだと思う。 悟:まぁ、常に余裕を持たせておくのは安全側だ。悪いばかりではないけど。 誓:じゃぁ、私が問うけど、疏乃の「見極め」は「諦め」じゃないって自信を持って言えるの? 疏:悪いけど、あなたとは比較にならないくらいに見極めている。 私の「"価値観"と"能力"の差」と、誓施の「"価値観"と"能力"の差」は、明らかに私の方が小さいしね。 悟:疏乃はもっと夢を持ってもいいんじゃないの? 疏:運というのはあるけど、自分の努力や能力以上のものを求めるべきではない。 誓:過ぎた価値観を持つのは不幸なのかな。 疏:過ぎた価値観なんて持たなければ、自分が満たすことができない基準を以て 他者を非難したりすることはなくなるかもね。 悟:100点満点のテストで80点をとれば満足か、100点をとらないと満足できないか? 疏:その比喩で言うなら私は70てんくらいで満足なのだな。 悟:90点とっても、100点がとれなかったって嘆くのはおかしい。 誓:それは違う。100をとろうと思い続けることは意味がある。 疏:だから、そこがあなたはわかっていないんだ。人が投資できるリソースは限られていることを理解していない。 悟:歴史を紐解けばわかるように、能力が高まると同時に、価値観も進歩していると思うな。 疏:そは面白い観点かな。 誓:疏乃だって、私よりかは見極めているかもしれないけど・・・。 疏:まぁね。ちょっとはゆらぐものだし、それが悩ましいし、時には楽しい。 疏:誓施、適切な目標設定をできなかったことにより、達成ができないことだってある。 嘆くのが間違っていて、それは喜ぶべきことだって言う場合だってある。 あなたに必要なのは、あなたが達成することができる、できるだけ高い目標を認識することだ。 悟:道筋の明確さというのも必要かも。 誓:どうせ届かないんだ、って思っていたら、届くものにすら届かないしね。 悟:私たちは、それぞれ違う価値の継承者なのかな、って思う。 疏:価値というものをいつの間にか継承してしまうものだと思う。意識的に、無意識的に。 誓:それぞれの価値に、どれだけリソースをつぎ込むかを考えろって感じのオチかな。 疏:ある量のリソースをつぎ込んだら、ある量の発展が見込める。それを高望みしないでってこと。 そうすれば、無意味な嘆きからは少しは開放される。 誓:けっきょく「お前の悩みは無意味だ」って言いたいわけ? 疏:「そんなのに悩んでいる時間があったらいくらでもやることはある」って言いたいんだ。 悟:どういう配分にすればいいのかわからない、ってことは悩むしかないんじゃないの? 誓:うーん、まぁ結局、人それぞれ差はあるものの・・・。 悟:悩みからは開放されないかな。どうリソースを配分するかも、悩んで解を導くものだし。 疏:そういうと、定量的には違うものの、定性的には同じだってことになるかなぁ。 うーん。 誓施にお願いなんだけど、私に話すときは、あなたにとって、そのことがとても 身近であることを話して欲しい。制御可能であることと言うべきかな。 地に足の着かない夢物語ばかりはうんざりする。 誓:夢物語?そこまでひどいことを言ったかな?(笑) 疏:誇張表現。(笑) 悟:精神論で終わっていないっていえますか。お二人さん。 誓:大丈夫。 疏:会話をすることに意味があるのは、どんなことが重要であるかという「重み付けを変える」ことができることかな。 そういう意味で。「精神論云々」なんて問うのはどうかしていると思う。 悟:そう、まぁ、なら、いいや。このへんでお開きで。 誓:うーん、どうも。話すと(問題点が)シフトするからいいね。 疏:そうだね。何が問題か?それを正しく認識するのは一人で考えているだけだと、なかなか難しいから。