『少し変わった子あります』(森博嗣)

少し変わった子あります

文章量は少ないのでさらさら読めます。さらさら。

面白いけど、どういうふうにその面白さを説明したらいいのか。

変な話です。大学教授と思われる中年男性が、不思議な体験をする話。別に超常現象が起こるわけではないのだけど。

まぁ、無駄なことをして、それに一生懸命意味づけを行っているようにも見える。無駄というべきか、贅沢というべきか難しいところだけど。食事代を払うわけだから、それが無意味だったとは思いたくないわけで、いろいろ意味づけを行いたくなるよなぁ、なんて思いながら読んだ。

この話は何を書きたかったのかなぁ、なんて考えながら読む。たぶん、女性のすばらしさでしょう。女性に別に限ることではないのかもしれないけどね。一般的には評価されにくい要素の評価を試みているような感じを受けた。

小説の作中で、登場人物の女性を「美人」とか「若い」とか「可愛い」とか書くのは簡単なことだ。ちょっと、面倒になるかもしれないけど、ブランド物のファッションで身を包ませるのだって、絵に描くことよりは楽だろう。でも、しぐさの良さを伝えるのは少し難しいかもしれない。意志や複雑な感性を伝えるのは難しいかもしれない。

何か、捉え難い、不思議なもの。それは、日常生活においても、触れる機会があるかもしれない。でも、「その存在を認識すること」、あるいは「その存在を捉えること」ができる？って問われているような気がした。

変な本だなぁ、ってやっぱり思った。